辻村深月さんの『闇祓』を読み終えて
最初に浮かんだ言葉は
「闇は、誰にでもある」というとても当たり前で
でも普段は目を背けている事実でした。
この本に出てくる闇は特別な人だけが抱えるものではありません。
むしろ私たちの日常のすぐそばにあり気づかないふりをしていれば静かにそこに居続けるものとして描かれています。
そして印象的だったのは
闇を抱えていることそのものよりも
それを表に出すか出さないかで人生の景色が変わってくる
という点でした。
闇は外から来るものではなく中から出てくる
『闇祓』を読んで感じた怖さは幽霊や怪異のような分かりやすい恐怖ではありません。
もっと静かでもっと身近な怖さです。
それは
闇は突然外からやって来るものではなく
自分の中にあったものがあるきっかけで表に出てくるという描かれ方をしているからだと思います。
不満、怒り、妬み、後悔、言えなかった言葉。
「こんなこと思ってはいけない」と心の奥に押し込めてきた感情たち。
それらが溜まり形を持ちやがて「闇」として現れたときそれは私たちを容赦なく攻撃してきます。
表に出てきた闇は私たちを攻撃する
この物語の中で描かれる「闇祓」は
単に怖い存在を追い払う話ではありません。
闇は私たちの弱いところを知っています。
迷い、不安、孤独を、的確に突いてきます。
- 心が弱っているとき
- 自分を責めているとき
- 誰にも本音を話せていないとき
そんなタイミングを見計らったように闇は姿を現します。
だからこそこの本の闇はとても現実的です。
私たちが日常で感じる「生きづらさ」そのものが
闇として描かれているように思えました。
私たちはどう立ち向かえばいいのか
『闇祓』を読みながら私はずっと考えていました。
闇から逃げることはできるのか。
闇を完全に消すことはできるのか。
そして出た答えは
闇をなくすことはたぶんできない
というものでした。
闇は人間の一部だからです。
誰かと比べてしまう気持ちも
うまくいかない自分を責める気持ちも
生きていれば自然に生まれてくるものです。
だから「闇祓」とは
闇を無理に消し去ることではなく
闇とどう向き合うかを知ることなのではないかと思いました。
闇に立ち向かう第一歩は「気づくこと」
この本が教えてくれた闇に立ち向かう最初の一歩は
「私は今闇を抱えている」と気づくこと。
元気なふりをしない。
大丈夫なふりをしない。
こんなこと思っちゃいけないと自分を否定しない。
闇を感じている自分をひとりにしないこと。
それだけで闇の力は少し弱まるのではないでしょうか。
闇を言葉にすると形が変わる
闇は言葉にされないままでいると
どんどん大きくなっていくように感じます。
でも
誰かに話す。
ノートに書く。
「しんどい」と認める。
それだけで
闇は「攻撃してくる存在」から
「扱えるもの」に変わっていく。
『闇祓』は
闇を言葉にすることの大切さを
とても静かに教えてくれる本でした。
人生後半だからこそ闇との向き合い方を知りたい
年齢を重ねるほど
私たちは「ちゃんとした大人」でいようとします。
弱音を吐かない。
感情を出さない。
迷っている姿を見せない。
でもその裏で
闇は確実に溜まっていく。
50代になった今これから先の人生を
闇から逃げながら生きるのはもうしんどい。
闇を持っている自分を認め必要なら助けを求める。
それも大人の選択なのだと。
『闇祓』は怖いけれど優しい本だった
『闇祓』は確かに怖い本です。
でも読み終えたあとに残ったのは恐怖よりも
「自分を大切にしてもいい」という感覚でした。
闇は誰にでもある。
そして表に出てきた闇は私たちを攻撃してくる。
だからこそひとりで抱え込まないこと。
この本は
「闇に勝て」とは言いません。
「闇を消せ」とも言いません。
ただ
闇とどう生きるかを考えてみて
とそっと問いかけてきます。
読み終えた今もその問いは私の中に残っています。
そして
きっとこの問いを持ち続けること自体が
私なりの「闇祓」なのだと思っています。

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